久方ぶりに同期に誘われて
商店街の小さなお祭りに行ってきた。
隅田川花火大会とか大きなグラウンドを借りて行うような大きな祭りではなかったが、1番胸が苦しくなるのは近所の祭りだと思う。
8月の最後ら辺に開催される近所の小さなお祭り。
宿題がまだ残っていながらも友達に誘われて行った現実逃避としてのお祭り。
ああ夏が終わると思わせる提灯の光の元、今年もまたどこかで誰かが偶像みたいなわたあめを食べるのだろう。
そこで会う同級生とか、初恋の人とか、怖いくらいに胸が痛くなる。
近所でばったり会うより地獄だし、皮肉だ。
恋を引きずることはそんなに悪い事だとは思えないから、多分余計に苦しい。
バケツをひっくり返したような人の波の中、
遠くの景色にふと、
かつて好きだった人を見つける。
悪運というか運命というかは分からないけれど
懐古という名の暴力が押し寄せる。
そこに理性は希薄気味だ。
そのうちに、道行く誰かとぶつかったりして
緩やかに正気に戻る。
祭りでなくても、人混みは嫌い。
だけれど、人混みはそんな胸の痛さから気を紛らわせる1つの方法だ。
美味しいけれど、別に美味しい訳でもない食べ物を売る気持ちが分からないから、
僕は机を隔てた向こう側には一生立てないだろうし、ましてや射的の的なんかにもなれないと思う。
祭りの空気を吸うのもなんだか嫌な気すらしてくる時だって、ない訳じゃなくて、
惰性で生き過ぎでいるのか、
鈍いから気付いてないのかも区別がつかない。
それでも誘われたら行ってしまうのは、
浴衣姿の可愛い女の子が居るから?
初々しい男の子達が居るから?
良い写真が撮れるから?
行きたくないと断れないから?
人は十代の頃に手に入れられなかったものを
一生求め追い続ける、からかもしれない。
イベントというのは非常に麻薬的なのだな、
蒸し暑さとの最後のお別れ、今年はいつになるだろうか。